No.80
方向音痴
2011年3月，震災直後の日本を離れ，とある南国に働きに行くことになった。
北緯は10度足らず。
北緯40度を超える北国育ちの自分からすれば，ほぼ常夏である。
植物はもちろんのこと，人々の生活も日本とは大きく異なっている。
何とかなるだろうという甘い見通しで来た自分はカルチャーショックで打ち砕かれることに・・・。
それはともかく，夜空を見上げると・・・あれれ，夜空まで全く見慣れない感じである。
この時期の夜空を プラネで再現すると，こんな感じであるが，どこに何があるか，お分かりだろうか？
上の夜空に星座を書き入れれると・・・
天頂近くで横倒しになっているので，なかなか気づかなかったのである。
オリオン座でこの有様だから，その他の星座はさっぱり分からなくなる。地上では方向音痴だが，空も分からなくなるとは。
見られたら長生きすると言われるカノープスもここでは平凡に輝く一等星で，何の有り難みも無い(^_^;
ちなみに日本の首都，埼玉ではこのように見える。たしかにカノープスは見えたらラッキーだと言えるほど低空にしか現れない。
SF映画「スタートレック」で，謎の惑星に降り立った隊員達が，夜空を見上げて
「太陽系から，さほど遠くないな」
とつぶやいたシーンを思い出す。
それに比べ，自分は地球にいるのに緯度が変わっただけで星座も分からなくなるのだから情けない。
もっとも，かなりの天文マニアもオリオン座が逆立ちして見える南半球に行くと，やはり分からなくなると言うが・・・
星の位置のみならず，太陽の挙動も日本とは違う。
7月下旬になると，太陽は地平線に対して垂直に出入りする。
だから正午になると，太陽は天頂に達して地面に映る影が無くなるし，日没後はストンと夜になり，面食らう。
星空の環境
開発途上国とは言え，無人島に来た訳ではないので，実は空はそんなに綺麗ではない。
車検制度が無いも同然なので町に溢れるボロ車やボロバイクが排気ガスを盛大にまき散らし，中国ほどではないが空にはスモッグが掛かることさえある。
手作りカー（？）も走っている。もうもうたる排気ガス
それでも双眼鏡を夜空に向けると星雲星団らしきものが次々に視界に入ってくるのは，やはり光害が少ないからであろ
う。
不要な電気は消すという節約精神のおかげと思うが，やはり経済状態も関係している？
通信事情
インターネットは今やほとんどの途上国でも利用出来る時代のようだ。
ここでも引くことは出来たが，高額な割りに速度は絶望的に遅く，何日間もつながらないことも多かった。
また，日本は管理状態が悪い海外のプロバイダーからのアクセスに対して制限を加えているところが多く，メールも届くかどうか怪しかったり，自分のサイトの更新さえ苦労する有様。
このサイトの更新を2年ほど止めてしまった最大の理由がこれである。
（工作どころではなかったというのもあるけれど・・・）
よく停電になり，そんな夜はトカゲのケケケ・・・という鳴き声を聞きながら早々と寝るしかない。
部屋によく現れたヤモリ君。ゴキブリを食べてくれるし，人間には無害。
2013年の暮れ，ほうほうの体で帰国。
テレビを見ても，3年のギャップのため，知らない芸能人ばかりに思える。
町に流れている流行歌も聴いたことが無いものばかりだ。
まるで浦島太郎であるが，日本の良さも再認識。
2011年〜2013年の間，個人メールの送受信に漏れがあったと思います。
ご迷惑をお掛けしたかも知れない方へお詫び申し上げます。
上図は，SUPER STAR IVを使用。良ソフトです。
(2014-2-24掲載)
