わたしは物作りが好きだから、いわば敵同士、というより、オオカミとヒツジだったと言っても良いでしょう。

　その戦いの例。
　　
　ある日、私が自作の模型飛行機を飛ばして遊んでいると、彼が見ているのに気づきました。
　　
　嫌な予感がした私は遠くに着地した飛行機を回収しようと走り出す。これが良くなかったんでしょうね。
　
　彼も飛行機めがけて走り出し、一足早くたどり着いてそれを叩き潰しました。
　
　わたしが悲しみに暮れて修理していると、彼がやってきて、｢悪かったな｣と言ったものです。
　
　しかし、別の日、自作の凧（たこ）を上げていると、今度は仲間を連れてきて、石を投げて撃墜する始末．．．。
　
　破壊癖は、ある種の条件で沸き起こる衝動のようで、自分でも制御できないのかもしれません。
　　
　もう一人は、友人でしたが、その彼がまた不思議でした。
　
　彼は物を作る趣味を持っていましたが、完成した作品に飽きると、器用に爆竹をしかけ、導火線に点火して、爆破するのです。
　
　これは自虐的な快感があって、ハタで見ていると結構おもしろく、私も感染しかかりました。
　
　物を作るといえば、芸術。その芸術の結集といわれるのが映画ですが、この内容は、皮肉にも破壊のオンパレードですね。
　
　製造に莫大な時間と費用がかかったと思われる秘密施設もスタローンやシュワちゃんにかかれば２時間以内に確実に爆破、炎上させられる運命にあります。　
　
　　

　　
こっぱみじんに壊される望遠鏡（映画バットマンＭｒフリーズの逆襲より）
めでたしメデタシ？