学校の「美術・図工」の授業や、「夏休みの自由研究」で作らされるからだ。

　だから「工作」を扱う児童向けの本は数多い。

　しかし、車の模型や貯金箱の作り方は書いてあっても、「光学機器」の作り方を書いてある本はめったに無い。
　
　限られたスペースで「光学の基礎」を説明する余裕が無いのと、レンズの入手が難しいからだろう。

　だから、図書館で、「望遠鏡」や「カメラ」の作り方を見つけると、インディージョーンズが古文書を発掘したのと同じくらいワクワクしたものである。

　書名は忘れてしまったが、ある児童向けの工作本で見つけた「望遠鏡の作り方」は、こんな具合。

　材料はボール紙、色紙。ノリとハサミも用意する。

　これを丸めて、筒を作りましょう。中は黒くします。

　外側は、色紙を切って、海賊のお宝風に仕上げる。

　「んー、レンズはいつ付けるのか？」

　ところが、「さあ、完成です」と来た。

　あれれ？

　「のぞいて見ましょう…ホラ、愛犬ポチの顔が何となく大きく見えるでしょう？」

　脱力….

　「保護者の方へ」と書いてある、ちっこい枠書きには

　「視界が区切られることにより、対象への注意力が増し、心理的に大きく見える訳です。」

　と書いてあった。